Street Ball
碧との事がはっきりしても、明日を決勝に控えたまま、翠と会う気にはなれなかった。


俺は何時まで翠を待たせれば気が済むのだろう。


そうは思いつつも、明日の決勝が終われば、ひとまずの決着はつく筈。


その頃は翠も愛想を尽かして、待っててくれないかも知れない。


もう既に、待っていてくれる確率はかなり低いだろう。


そんな考えも浮かんだが、それも当然といえば当然の話し。


謝って許されるとは思っていないけど、その時は碧とは終わったと報告だけしよう。


そして、一言でも良いから、傷つけてごめんと…。


全てを思い出しながら、何処までも浅はかで自分勝手な奴だと、思わず苦笑いが漏れる。


結局、幾ら背伸びをしてみた所で、俺は十六歳という壁は越えられないんだ。


明けなければ良いのにと思う夜も、時は無情に過ぎていく。


誰の力を持ってしても、時の流れを止める事も進める事も出来ない。


俺が十六歳の壁を乗り越えられないように…。


そうやって、決勝の朝を迎えた。
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