Street Ball
スピリットを口の端にくわえながら、家を出て[SB]までの道を歩く。


[SB]に曲がる前の通りまでくると、人影らしき物は辺りになかった。


準決勝の時は、この通りから賑わっていたんだけどな。


ピックアップトラックの荷台に乗り、何処か不安顔のままガードしているスキンヘッドを見ながら、[SB]への通りを曲がった。


今までは深く考えなかったが、何故こうして来る人間の顔をチェックしているのかも、今ならその理由が分かる。


[SB]の細道に入るまで人影すら見えなかったのに、細道はギャラリーで溢れていた。


試合開始が今か今かという興奮を隠せず、細道全体に漂う空気が熱い。


身体を横にしながら、人と人の隙間を縫って歩くも、俺の存在に気付いたギャラリーからもみくちゃにされた。


それでも何とか[SB]の前まで辿り着き、皺の増えた服を直しながら店内に入る。


先に着いていた泰二と鉄も、皺の出来た服を直しながらレジ前に居た。
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