Street Ball
「ハハハ、見ろよ泰二。夏目も同じ目に合ったみたいだぜ。」


嬉しそうに人を指さしてる鉄も同じだけどな。


外の熱さとは違い、店内はオアシスに思える程涼しい。


「八対二で、予想は[REEF]有利だってよ。」


髪型を直しながらそう言った泰二は不満顔。


これから、わざと手を抜いて負けようとしている俺。


試合後にこの二人に責められるのかと思うと、気が重い。


恐らく、[HEAT]として最後の試合になるだろう。


その試合で手を抜かなければならないのは、苦痛以外のなにものでもなかった。


それと同時に、心の中で二人に詫びた。


俺から誘ったくせに、こんな事になって本当にすまないと…。


「夏目も来た事だし、俺等もそろそろ行くか。」

そう言ってコートへと出るドアを開けた鉄に、泰二と俺も続いていく。
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