Snow mirage
「迷子?」
屈んで話しかけると、猫は私を見上げてまた不安そうに小さく鳴いた。
濃い緑色の瞳が私に縋るように揺れる。
その姿がなんとなく今の自分に重なって。気づくと私は猫を抱き上げていた。
腕から伝わる猫の体温で、冷えた身体がほんのり温まる。
「探そうか?きみの飼い主」
猫は私の腕の中で身震いすると、安堵したように小さく鳴いた。
***
猫を抱いた私は、一時間ほど辺りをうろうろと歩き回った。
首輪をつけているし、心配した飼い主が貼り紙でもしているかもしれない。
そう思ったけれど、飼い主に関する手がかりはさっぱり見つからず。
私は猫を見つけたコンビニで小さい牛乳パックと紙皿を買うと、そこから近い公園で猫に与えた。
「どこにいるのかな。きみの飼い主」
公園のベンチに腰掛けてミルクを飲み終えた猫を抱き上げる。
コートの内側にいれてそっと抱きしめてやると、猫は心地よさそうにゴロゴロ喉を鳴らした。