White X'mas

そうしていつもの準備をすませ、ドアの鍵をかけた所でケータイが鳴った。

「ああ、萌花(もか)、おはよう」

電話の相手は母。

「そろそろ着くけど、準備できてる?」
「うん。今から下りるところ」
「じゃあ、いつもの樹の所で」

頼もしい相棒と朝の街を歩きたい気持ちはあるのだけれど、今日の目的地はちょっと遠い。

その上、行ったこともない場所だから、車で移動すると、事前打ち合わせで決まっていた。

私はいつも待ち合わせに使う、道路沿いの街路樹の下に立ち、ふう、と唇をすぼめて息を吐く。

そうして吸い込んだキンと冷たい空気に、自然と背筋が伸び、頭の中で曲の続きが流れ出す。


♪鼻やまつげに残った雪のかけら♪


この曲はクラシックではないけれど、ミュージカル『サウンド・オブ・ミュージカル』で歌われて以来、映画やテレビ、様々なアーティストが演奏してきたポピュラーな曲。

つらい時、悲しい時、に好きな物を並べて自分を励ますという内容に惹かれたのが最初だけど、今はこのメロディーも気に入っている。


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