夕焼けの彼方

始めて約5分。
いや、いくらなんでも早すぎっしょ?授業どうしてるのかしら、この人。


「あのー、ガキじゃないんですから止めませんか、そーゆーの。しかも、全然ヒマじゃありません」

「口はヒマだろ?」
「…それは、そーですけど…」


アタシは返す言葉を失った。
そして同時に、超あきれた。

「はぁ。…じゃ先輩から、しりとりの"り"ですよ」
「マジで?やりィ♪」


羽矢先輩は心底嬉しそうな顔をしている。
こんなんで喜ぶなんて、まだまだガキだわ。



「り?え〜っとォ………」

早くもシンキングタイムに入ってしまった羽矢先輩は、何故か手も止めてしまっている。

「ちょっと。どーでもいースけど、手は動かしてくださいよ」
「あ、悪リィ」

あら、意外に素直。

つーか、"り"ってそんなに悩まないでしょ!普通に"りんご"でいー…


「じゃ、りんご!」




ホントにしやがった。(それとも、ただ単に普通な答えを返したのか…)
今度からエスパー沢石って呼ぼうかなぁ…


「なんだよその…うわーベタだなぁ、みたいな顔は」
「別に何でもないです。"ご"かぁ……ごま!」
「ま…まりも!」
「もも!」
















…ってな具合に、アタシ達のしりとり勝負(?)は地味〜に幕を開けた。とゆーか開けてしまった。
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