最低男との結婚
「なぁ、優奈。
逃げ出して楽になったか?」


私の頭を撫でながら
そう聞いてくるけれど


何も答えられない自分。


「ごめ・・・私、
帰る。」



大輔の腕をすり抜け
そのまま逃げるように
玄関を出ると

エレベーターまで
脇目も触れず
走り抜けた。


逃げ出して楽に・・・


なんて、なるはずない。


会えなくても苦しくて

会ったら、離れたくなくて

また、苦しくなって・・・


こんなに好きなのに、


こんなに愛しいのに、


一緒にいると


欲張りになって、苦しくなる。








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