冷徹ドクターに甘やかされてます
「春田だって満更でもないんじゃないのー?」
「ない。ただの患者の家族だ」
「えー?」
そう、ただの患者の家族。
何年も付き合いがあるから、少し仲が良いだけ
向こうが幼いから、気にかけてしまうだけ
それ以上の気持ちは、きっとない
「俺からはそうは見えないんだけどねぇ…何をそんな頑なに気にしてるんだか」
「……」
「お前が思ってる以上に、あの子は本気だと思うけど」
「…わかってるよ。けど付き合って別れでもしてみろ。一番気まずいのは向こうだぞ」
「そうかもしれないけどさぁ…あーもう!もっと乙女心をわかってやれよ!だから30にもなって独身なんだよ!」
「お前もだけどな」
そう一言呟いては、キーキー騒ぐ崎山を置き去りに歩き出す。