冷徹ドクターに甘やかされてます
「…あ、」
「?」
灯が何かに気付いたように見る視線の先を見ると、窓の外の中庭には陸以外に影がもうひとつ。
それは、以前崎山が紹介していた松葉杖の男…入院している久志という男子高校生だ。二人は何やら話をしては、陸は楽しそうに笑う
「あの人って、陸ちゃんのこと好きなんだよね」
「!?」
すると突然のその一言に、俺はぎょっと灯を見た。
「り、陸が言ってたのか?」
「ううん。けど、看護師さんたちも言ってたし、僕が見てもそう思う」
「へ、へー…」
「いつも無愛想なフリしてるけど、陸ちゃんのことばっかり見てるもん」
子供にしては敏いのか、向こうが分かりやすすぎなのか…自分一人が知らなかったことに思わず動揺してしまう。
(って別にいいだろ、俺には関係ないことだし…)