【短編】イブの夜に抱きしめて
 メールで送ったんだからメールで返せ、って鈴木課長は言うけれど、そんな余裕もなく。


 二人でオフィスを出る。ロビーの自動ドアを抜ければそこは夢の国。テナントやビルの前にはリースやツリー、メロディも流れている。街明かりさえ電飾に見えてしまうのは、きっと斜め前を歩く人のせい。



「あの……どこに」
「セイントミッシェル教会じゃなかったのか?」
「それは」
「その後はレストランだろう?」
「だってあれは」


 胸が高鳴る……。


 直に教会に着く。ライトアップされたそれは厳かそのもので。オルゴールのメロディすら流れてないから余計に。



「課長……あの」
「彼女はいないんだけど」
「だって、付き合ってるって」
「しばらく前に別れた」


 告白するなら今……。


「け、ケーキ、ホールなんです! 一緒に食べてくれませんか?」



 ほんの少し、課長の頬が赤くなった。





(おわり)


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