センチメンタル・シュガー
ー
「お疲れ様でしたー」
そして、無事本日の分のケーキを完売させた頃には時刻は既に夜10時すぎ。
私服に着替えた私と徳井さんは、オーナーから貰った小さなクリスマスケーキの入った箱を手にお店を出る
「あー…さすがに体冷えた」
「うん。早く帰って暖かいお風呂入りたいねー」
「……」
もうすぐクリスマスも終わり。けれどまだ夜の街はキラキラと明るく、幻想的な空気を漂わせている
「…なぁ、澪」
「ん?なに?」
「この後さ、一緒に飯でもどう?」
「…?」
すると突然徳井さんからは、食事の誘い
「え…あ、でも家帰らないと。大和ももう帰ってきてるかもしれないし」
「帰ってなかったら?」
「…?」
「記念日なんて気にしないで、お前のこと気に留めないような男を一人で待つのかよ」
「……」
ずしりとのしかかる、その一言
記念日、
だけど大和は気にしてない
まだ仕事かもしれない
大切にしてるのは私ひとりかもしれない