センチメンタル・シュガー
「…でも、」
「俺にしろよ」
「え…?」
「そんな男より、俺にしろよ!澪!」
「……」
徳井さんはそう言うと、私の腕を掴み真っ直ぐに見つめた。
ひとりよがりな恋
だけど、それでも
「…徳井さん、ごめ…」
『…おいこら、…何してんだよ…』
「へ?」
ごめんなさい、そう謝ろうとしたその時、後ろから聞こえた声に振り向くとそこにいたのはまたも先程のトナカイ
これまでと違うのは何やら急いで来たのか、はー…はー…と息をあげているということ
「なっ…またお前か!何なんだよトナカイ!さっきから人の邪魔ばっか…」
『邪魔は、お前だっての…』
「は…?何言ってんだよ!つーか、顔見せろ!」
度々現れるトナカイに余程苛立ちを感じたのか、徳井さんは思い切りトナカイの頭をはぎとるように奪う。
すると、そこにあったのはいつも目にしている彼…大和の姿だった
「や…まと、?」
「へ?大和、って…これ、彼氏?」
「…そーいうこと。だから悪いけど、澪はお前と飯は行かない。澪が選ぶのは俺だし、一人なんかじゃない」
「大和…って、わぁ!」
大和はそう言い切っては、徳井さんから奪われたトナカイの頭を奪い返しては私の腕を引きその場を走り出した。