センチメンタル・シュガー



「くそ、何なんだあいつ…」

「……」



手に乗せられたひとつのホッカイロ。

それに思い出すのは、ある冬の思い出



(そういえば、前にもこんなことがあったっけ)



それは5年前の冬、友達とその彼氏とまたその友達と…と大勢で遊園地に遊びに行ったことがあった。





『寒いー!』

『澪冷え性だし寒がりだもんねぇ』

『そうなの?大丈夫?』





厚着をしてきたものの寒がる私に、差し出されたのは小さなホッカイロがひとつ





『…?』

『これ、あげる』

『え?でも…いいんですか?』

『うん。すごい寒そうだし』

『…あ、ありがとう』

『どういたしまして』





その時こぼされた笑顔がすごく優しい笑顔に、私は一瞬で落ちてしまった。

それが、大和との始まり



それから何度かそのメンバーで遊んだけれど、私はいつもその姿ばかり追いかけていた。

そっけないところも、時々優しいところも知れば知るほど好きになって





『あの…大和、くん!』

『?』

『好きです、付き合ってください!』

『……』





一年後、勇気を出して誘ったクリスマスのデートで告白をした私に、彼はまた優しい笑顔で頷いてはキスをした。



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