クリスマス・イブは金曜日




カレカノ…。言ってみると、何か斬新な響きだ。

今まで男臭い人生を送ってきた俺にとって、自分が言う日が来るとは思えなかった言葉だ。

そんな事を考えながら愛川を見つめていると、俺を見上げていた愛川が、不満そうな顔をした。



「…も~っ、ウブなんだから」

「何? 愛川、何か言った?」

「…愛川じゃないよ。“優美子って呼んで”って、言ったじゃん」



あ、そうだった。
俺、優美子って呼んで良いんだった。



「ごめん、優美子。ありがとう」



俺は優美子に謝ったけど、優美子の不満そうな顔は、直らない。

ちょっと、膨れっ面だ。



「え? 俺、何か悪い事した?」

「これくらいはしてよ。男でしょ?」



俺を見上げていた優美子が、少し背伸びする。
優美子の顔が、俺の顔に近寄ってきた。

頬に、チュッと、音が落とされる。
優美子が離れてから、俺は思わず頬を押さえた。




.
< 23 / 24 >

この作品をシェア

pagetop