クリスマス・イブは金曜日
カレカノ…。言ってみると、何か斬新な響きだ。
今まで男臭い人生を送ってきた俺にとって、自分が言う日が来るとは思えなかった言葉だ。
そんな事を考えながら愛川を見つめていると、俺を見上げていた愛川が、不満そうな顔をした。
「…も~っ、ウブなんだから」
「何? 愛川、何か言った?」
「…愛川じゃないよ。“優美子って呼んで”って、言ったじゃん」
あ、そうだった。
俺、優美子って呼んで良いんだった。
「ごめん、優美子。ありがとう」
俺は優美子に謝ったけど、優美子の不満そうな顔は、直らない。
ちょっと、膨れっ面だ。
「え? 俺、何か悪い事した?」
「これくらいはしてよ。男でしょ?」
俺を見上げていた優美子が、少し背伸びする。
優美子の顔が、俺の顔に近寄ってきた。
頬に、チュッと、音が落とされる。
優美子が離れてから、俺は思わず頬を押さえた。
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