君には聴こえる


「私も思ってた、あのツリーがなかったら、私たちは出会えなかったかもしれない」


今だから言える本音。
今までなら、怖くて口に出して言えなかった。考えることもできなかった。


だけど、今は違う。


もう二度と見失わない。


もう二度と離れない。


「これからも僕らにとって、今日が特別な日であるように……」


頬杖をついていた彼の手が、私の手をするりと取り上げる。ぎゅうと両手で包み込んだら、まっすぐに私を見つめた。


胸が高鳴り始めて、きゅうっと押しつぶされそうになる。


今にも言葉が零れ落ちてきそうな彼の唇が、小刻みに震えてる。それを抑えようとしているのか、隠そうとしているのか、瞬きの回数が次第に増えていく。


だけど、さらに輝きを増す瞳。
個室を淡く照らす電球を映して、穏やかに揺らぎ始める。


彼の唇が開いた瞬間、鼓動が大きく弾けた。


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