夏色の約束。~きみと生きた日々~
「今日、どこに行く? なっちゃんの行きたいところでいいよ!」
「えっ? でも……」
「なに?」
「今日、あおちゃんの誕生日でしょ? だから、あおちゃんの……」
あおちゃんの行きたいところでいい。
なつがそう言おうとしたら、それを遮るようにあおちゃんがなつの口元をてのひらで覆う。
「俺、なっちゃんがいたらどこでもいいよ? それにさ、今日こうやって遊びに出かけられるのだって、なっちゃんが俺を誘ってくれたからじゃん」
「そう、だけど……」
「だから、なっちゃんの行きたいところでいいの!」
そう言って笑うあおちゃんの笑顔がすごく優しくて、なつは一瞬息をすることさえも忘れてしまう。
ってか、それじゃあ意味ないのに。
あおちゃんの誕生日なのになつの行きたいところに行ったって、あおちゃんあんまり楽しめないでしょ?
「なっちゃん」
俯いていた顔を上げれば、にこにこと微笑んでいるあおちゃん。