ド天然!?魔女っ子の秘密
「それでも、あたしにはできない。

貴方がここまで執着していたガーネット様への想いは…消せない」

あたしはしっかりと言い切った。


『我が恋心は…伝えることもできなかった、儚く脆い想い。

今更そんな想いが消えたところで、世界は社会は何一つ変わらぬ。

何も情緒的になって迷うことなどないのだ、さあ』


全てを諦めたかのようなその声に、違うと否定した。


「貴方がガーネット様に気持ちを伝えられなかったのは、その想いが儚かったからじゃない。脆かったからじゃない。

きっと、ガーネット様を困らせることを恐れたから。そうでしょう?」


あたしは崩れそうになる体に力を入れて倒れないように踏ん張る。


「貴方が好きになったガーネット様なら、きっと天国で今も貴方のことを心配なさっているはずです。

ガーネット様はとても優しい方だと記録に残っていますから。

だから…貴方や貴方のその想いまでもが消えてしまったなら、ガーネット様はきっと深く傷つかれる。きっと深く悲しまれる!

そして、サファイアさんをここまで追い詰めてしまったと、強くご自分を責められるでしょう。

貴方はガーネット様にそんなことをさせるおつもりなのですか?」


あたしは拳を握り、強い口調で言い放った。


『…お前はどこまでもガーネットに似ているな。その容姿も、性格も、魔力の波長までも…

それに…お前だから、お前だったから、我は負けを認めることができたのかもしれぬ』


とても穏やかな声が頭に響いた。
< 515 / 535 >

この作品をシェア

pagetop