ド天然!?魔女っ子の秘密
それもあるけど、と小麦ちゃんはモジモジと話し始めた。

「あのね、由良ちゃんに会いたくて…」


…なんですか、この可愛さは。


俯き加減なところも、少し上目遣いなところも、切ない目をしているところも、小麦ちゃんを形成する全てが可愛い。もう、可愛いという言葉では言い切れないくらいに、可愛い。

本当に可愛いって正義だと思う。


「あのね、由良ちゃん…」

「何?」

「お話、聞いてくれる…?」

いいよ、と答える。

でも少し小麦ちゃんの表情が固い気がする。何か重大事件でもあったかな?


あたしは店の奥にあるこじんまりした応接スペースに小麦ちゃんを案内した。


オレンジジュースとクッキーを出した。

「ありがとう」

小麦ちゃんは可愛すぎる笑顔だったけど、どこか遠い目をしている。

これは…何か大変なことが起こったようですな。


「何か大変なことがあったんだね」

「え…?」

あたしの言葉に、何で分かるの?というような表情をしている。

「分かるよ、小麦ちゃんのことだもの」

あたしが笑うと小麦ちゃんは俯いてしまった。


「あ…あのね…」

決意したように小麦ちゃんは話し始めた。

「…ゆ…」

「ゆ?」

ゆ…

ゆ…

ゆ…

……湯!?

お風呂?温泉?何なに?


「勇気のでる魔法を教えて!」

顔を真っ赤に染めた小麦ちゃん。

あー、なるほど。


「好きな人に告白するんだ?」

あたしがニコッと笑うと、ますます顔が赤くなる。


あは、どうやら図星らしい。

凄く恥ずかしいのか、リンゴのように真っ赤にまってしまった小麦ちゃんの顔からは湯気が出そうだ。
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