クリスマスケーキ
「待てよ…明日香」



「・・・」


私は湊の言葉を無視してチーフ室を飛び出した。



悔しくて私の瞳には涙が滲んでいたから。


一人で悔しくて給湯室の隅で泣いていた。



「…負けず嫌い…」


私の肩に優しくかかる手。


肩越しに振り返ると湊が立っていた。



「…そんなに悔しいのか?」


「…べ、別に…」



私は慌てて涙をゴシゴシ…手の甲で拭いた。



「おいおい…アイメイクがボロボロだぞ…ちゃんと直してから…オフィスに戻れよ」


「…」


「…俺は上司でも…この課ではお前の方が先輩だ…頼りにしてんだからな」

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