クリスマスケーキ
湊はキャビンアテンダントからブランケットを受け取って私の膝に掛けてくれた。



思いがけない彼の優しさに心臓が跳ね動く。



やがて離陸時刻に。



「怖いか?」


隣に座る私に優しく問いかける湊。


彼はシートベルトの下で身体を硬くさせる私の左手にそっと大きな手を重ねた。




張り詰めていた緊張が緩やかになり、飛行機は滑走路を走り…次第に加速する。




やがて轟音が上げて…飛行機は離陸して飛び上がった。


その刹那はギュッと瞳を閉じたけど。


彼の手の体温が私を安心させてくれた。
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