あくあまりん。

《杏樹side》


………………何なんだ、この状況。



何で、ここにあの自殺男がいるんだろう。

しかもあたしの病室に。





さっきから沈黙。

いきなり花束持って入ってきたけど、

何も喋んない。



な、何かもの凄く緊張するんだけど……

今度は何を言われるのか……
















「ごめん。」







「え?」




いきなり謝られた。

な、何に対して??






「あん時は悪かった。俺が間違ってた。

もう自殺とか馬鹿なことしねぇ。

止めてくれてありがとう。」


「……………そ、そう…………。」






びっくりした。

謝られるとは思わなかった。






「俺、ホントどうかしてたわ。

自分の思うように行かなかっだけで

自殺なんかしようとしてさ。

もうそんなことしねぇ。

ホントあの時止めてくれてありがとな!!

てな訳で、これ、お見舞い(笑)」


「べ、別に………w

こっちも自分の入院する病院で死人なんか

でで欲しくないし………。

でもまぁ、花束……………ありがと……ww」



「おー、そっかそっか!

ホントありがとな!!」



な、何コイツ………

調子狂う………………汗







「なぁ、杏樹。」









「……………………へ?」


い、今……………名前呼ばれたよね………??

何で名前………?!


「あれ、名前違ってた?」


そこでハッとして慌てて言い返す。


「な、何であたしの名前知ってんの?!」


「あ、合ってたんだ(笑)

杏樹しってんじゃねぇの、矢沢のコト。

アイツと同じ高校だから聞いたんだけど。」

「え、矢沢って…………卓海のこと?!」


わー、何たる微妙な接点w

卓海のクラスメイトか。

なるほどなるほど。




「あ、そーだ。

俺は篠塚 大河。よろしくな!!

なぁなぁ、またここに来てもいいか?」



篠塚…………大河、ね。

フフ……少し嬉しい。

あたしの近くには、

卓海しかいなかったから………。


あたしもダメね………。

まさか、出会い方が1番最悪だった

こんな奴に心を許すなんて……。

…………ま、案外悪くないかもねw



「……………いいわよ。

改めまして、長峰 杏樹です。

大河ね、これからもよろしく♪」


「おう!!じゃあ、俺帰るな!

また今度来るから、

それまで待っとけよ?」


「クスクス……w

えぇ、気長に待ってるわ(笑)

バイバイ。」


「おー、じゃあなw」




そう言うと、自殺男……じゃなくて、大河は

あたしの病室を後にした。









…………………と、思えば。












「…………本当に、ありがとう…………。」


顔を少しだけ覗かせ極上の微笑みを浮かべ、

そう言って今度こそ帰っていった。





………………………………………

…………………はっ!!!!



思わず唖然w

な、何あのカッコイイ微笑み?!!!















しばらくしてもあたしの心臓はバクバクが

止まってくれなかった。




















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