蜜恋ア・ラ・モード
薫さんの体温は気持ちを落ち着かせ、私に本当の気持ちを教えてくれる。
「薫さんが好き……」
それは薫さんに伝えるとともに、自分にも言い聞かせるように口から吐いて出た言葉。
嘘偽り無い気持ちなのにこんなにも不安なのは、きっと洸太の残していった笑顔がまだ頭から離れないから。
明日になれば、いつも通りの洸太の顔を見れば、こんな気持ちは吹き飛んでしまうだろう。
それにこれからは、薫さんがずっとそばに居てくれる。この温かい腕は、迷わず私のことを抱きしめてくれる。
薫さんから少しだけ身体を離し、彼の顔を仰ぎ見た。
「大好き」
「僕も都子さんが大好きだよ」
薫さんの大きな手が、私の頬を包み込む。薫さんの顔が近づいてくると、私はゆっくりと瞳を閉じた。
おでこに触れた彼の唇は、こめかみに頬に、そして……
自分の唇に薫さんの吐息を感じると、熱い唇が遠慮なく重なった。
角度を変えて何度も何度も触れる唇。それは段々と深みを増していき、すでに私は酸欠状態。
それでも私を離してくれない薫さんは、舌を忍び込ませると私の舌に甘く絡ませた。
混ざり合う熱と気持ちが、私の不安な気持ちを少しずつ和らげていく。
薫さんの腕の中はこの上なく温かくて、安心をもたらせてくれる。
薫さん。私をずっと離さないで───
そう、心の中で願わずにはいられなかった。