蜜恋ア・ラ・モード
「皆さん、お疲れさまでした。今日はいろいろとご迷惑をかけて、本当にごめんなさい」
自分たちで作った筑前煮をタッパに詰め、帰る支度をしている三人に頭を下げた。
この教室で起きたことのすべてに、私が責任をもつのが当然。
なんだけど……。
今回に至っては、洸太にも謝ってもらいたい気持ちでいっぱいだ。
「都子先生、そんな謝らないで下さい。先生の気にしすぎですって。今日のここでの時間は、とても有意義なものでしたよ。次回もとても楽しみです」
顔を上げると、ニッコリと微笑む高浜さんの笑顔。
もしかしたら気を使って言ってくれてる?
でも高浜さんの目はキラキラと澄んでいて、そんな私の考えはすぐに消えてしまった。
「ありがとう。そう言ってもらえてホッとしました。洸太もね、悪い人じゃないんだけど……」
そう言って、苦笑いをひとつ。
高校生の頃からだったかな。私のこと、それも男性が関わることとなると、でしゃばってくるというか何というか。
「私は彼みたいな人、嫌いじゃないけどなぁ。都子先生、本当に付き合ってないんですか?」
「腐れ縁みたいなもので、本当に付き合ってません!!」
最後の部分を強調して言ってみたものの、柳川さんと梅本さんは納得いかないみたいで。しばらくふたりであーでもないこーでもないと、話は大きくなっていくばかり。
「でも彼女いないんですよね? それって絶対に都子先生のことが好きで作らないんですよ」
梅本さんの確信をついた言葉に、ピクッと身体が反応した。
洸太が彼女を作らない理由───