蜜恋ア・ラ・モード


試食を終えると、全員で後片付けを始める。そしてその様子を見ながら、今日の料理教室のことを振り返っていた。

四人という少ない人数で始めたこのコース。もちろん設備が少ないこともあったけれど、大人数では出来ないこと細やかな事まで行き届くこのスタイルは、私の性格には合っていた。

生徒さんと同じ目線に立って、一緒に成長していく───

特に初心者コースの人たちとは、同じ気持ちで私自身も初心に戻って進めていけたらいいな。

初心者コースは今日のAコース以外にもあと2コースあるけれど、うまくやっていけそうだ。

どんな生徒さんが集まるのか、興味は尽きない。

今回は生徒さんにも恵まれたと思う。

柳川さんに梅本さん。新婚さんともうすぐ結婚を控えているふたりは、幸せいっぱいと言ったところだろうか。身体中まら幸せオーラが溢れかえっているし。

高浜さんは、双子の子供を育てていてちょっとお疲れ気味だけど。旦那さんの為に頑張ろうとしている姿は、応援せずにはいられない。それに彼女とは、何となく気が合いそうだった。

そして、有沢さん。まさか私の料理教室に男性が現れるとは、思っても見なかった。

だからなのか。第一印象が衝撃だったこともあるのか。

どうしてこんなにも彼が気になるのか、自分でも戸惑うほどだけど。

彼女のいる人を気になってもね……。

高浜さんたちと洗い物をしている有沢さん。最初こそ仲良くやっていけるか心配だったけれど。


「全く心配なかったみたい」


ボソッと小さく呟けば、顔を上げた有沢さんと目が合った。

小さな胸が、キュンと音を立てて跳ねる。


「都子先生、どうかしましたか?」

「い、いえ、何も。さあ、パパッと片付け終わらせましょう」


なんで、そんな顔で微笑むの?

ふっと意地悪に笑うその顔に翻弄されながらも目線を外すと、無心に自分の仕事をこなしていった。
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