Treasure~もう一度、恋~
「…だから、こんな場所に来ちゃダメって言ったでしょ?」

「怒るなよ。せっかくの貴重なオフを使って来たのに」

「お兄ちゃん、こんにちわ。また遊びに来たの?」

「おう、陽斗。またお母さんと話をしに、な。」

「…おかあさんのこと、いじめないでね?」

「もちろん。こうみえて俺、陽斗と同じくらいお母さんのこと
 好きなんだぜ?」

「そうなの?じゃあ、いいよ!」




きゅっ、と胸が締め付けられる。

瞬は、いつだってそうだ。

その、天真爛漫な笑顔で

人の心を、掴んでしまう。




陽斗がおもちゃで遊びだしたのを確認すると、

瞬があたしへと向き直る。

その瞳は、真剣そのものだった。




「俺、決めた」

「え?」

「お前たちと、一緒に暮らす」

「…は…?」




冗談なんかじゃない。

瞬は、大真面目だ。



「なに、言ってるの…?」



唇が震えて、うまく言葉にならない。



「結婚しよう」

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