Treasure~もう一度、恋~
「有希さん、そろそろお昼ですよ?一回帰りますか?」

「…あ」




気がつくと、目の前に平澤くんと陽斗が立っていた。




「うん、そうしよっか」

「ご飯、ご飯♪」

「なににしようかなぁ、うどん?ナポリタン?」

「僕ね、つるつるがいいな!」

「どっちもつるつるだよ…」

「あはは!確かに!」



そんなことを言い合いながら、アパートへと向かう。

どくん、と心臓が音をたてた。




「…!」

「あ、お兄ちゃん!」

「え?」




アパートの前には、帽子を深くかぶってサングラスをした瞬がいた。

一応、変装のつもりだろうけど、オーラが違う。




「なんか怪しげですけど…有希さん、知り合いですか?」

「あ…」

「おかあさん、あれってこの前来たお兄ちゃんだよね?」

「お兄ちゃん…?」

「ひ、平澤くん!今日はもう帰ってもらってもいい?」

「え」

「陽斗、行こう!」

「え~?佑介くんともうバイバイなの??」




平澤くんに瞬のことがばれたらマズイ。

あたしは、陽斗を抱っこすると、足早にアパートへと駆け出した。



背中に、痛いほど平澤くんの視線を感じながら。






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