5年目のクリスマス

「ああ。成人式の写真だろうな。紫の着物を着て清楚に笑う志奈子に弟もまんざらでもない顔をしてた。多分、他の男にも配られてるんじゃないか?」

「と、父さん……」

驚いて言葉を続けられない私に、先輩は苦笑すると。

「見合い写真を見て志奈子に一目ぼれした俺が婿に行くって言ったんだけど、俺は親父の会社の跡取りだし絶対に許さんとか親父に反対されて、で、それから5年かけて周囲を説得しながら志奈子のお父さんの会社の株式を買い集めた。まあ、俺も単純だよな、志奈子の会社の大株主になれば、強いつながりができて志奈子を俺に任せてくれるんじゃないかって考えてさ。恋は盲目ってこういうことかって情けなくもあったけどそれしか思いつかなくて。……優良企業の株式だから、うちの会社の役員たちの反対もなくてさ、気付けば大株主になってたってわけだ」

5年かけて……って、私の入社前からだ。

私はまだ入社4年目だから、入社して、先輩の下に配属された時にはもう、先輩は私を手に入れようと画策していたわけ?
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