5年目のクリスマス
流れる青い光を眺めているうちに、アマザンホテルに着いた。
「ありがとうございました。これはお客様にお配りしているクリスマスプレゼントです」
料金を払い、おつりを受け取ろうと伸ばした手に置かれたのは、クリスマスツリーの形をしたブローチだった。
陶器でできているそれは、手の平にすっぽりと収まりかわいらしい。
「あ、ありがとう……ございます。とても、かわいいですね。手作りですか?」
「はい。私の妻が作って持たせてくれたんです。クリスマスの弾む心をお客様と共有できたらいいね、と言って」
柔らかい表情と甘い声。
奥様を心から愛しているとわかる。
手の平に置かれたブローチを見ていると、私の心も少しずつ上向いてきた。
弾む心とまではまだいかないけれど、クリスマスのほんの少しの時間を共有できた運転手さんとその奥様に、感謝の気持ちが溢れる。
「ありがとうございます。ブローチ、大切にしますね。奥様にもお礼を言っておいてください」
「はい。伝えておきます。いいクリスマスをお過ごしください」
運転手さんの笑顔に勇気をもらい、私は頷いた。
いいクリスマスになるかどうかわからないけれど、とにかく逃げずに先輩と向きあおう。
クリスマスの今日、どうして私とお見合いをする気になったのか、聞いてみよう。
タクシーをおり、目の前の回転ドアを見つめながら、私は覚悟を決めた。