5年目のクリスマス
待ち合わせにはまだ時間があるというのに、ロビーには既に先輩の姿があった。
高級ホテルに見合う、座り心地の良さそうなソファに腰掛けている先輩の様子は、その座り心地を満喫しているようには見えない。
「そうだよね……やっぱり嫌々ここに来たに決まってるよね」
ため息を吐いて、カーペットをゆっくりと踏みしめながら先輩のもとへと歩を進めた。
すると、俯いていた先輩は、はっとしたように視線を上げて私に気付いた途端、安堵したような表情を作る。
まるで私を待ち焦がれていたような、そんな先輩の表情に違和感を覚えた。
「来ないかと思ったぞ」
「あ、あー、いえ、ちゃんと来ますけど……」
立ち上がり、私の目の前に来た先輩は、安心したように表情を緩めている。
普段見せる冷たいものとはまるで違うその表情をどう受け止めればいいのか戸惑っていると。
「部長から聞いた。仕事、辞めたいんだって?」
「え、えっと、はい……」
「どうして突然?俺、何か無理言ったか?」