さよなら魔法使い
「お母さん、明日はパン・ペルデュがいいな。」
すぐ傍で片付けをしていたトゥーリに背中で話しかけた。
「珍しい。あなたはカス・クルート派だったじゃないの。」
売れ残ったバゲットの籠を持ち上げながらトゥーリは肩をすくめた。
よく寝坊するリースは動きながらでも食べられる方が性に合っていたのだ、しかも好きな具材を詰めるのだから自然と自分なりの贅沢仕様になるカス・クルートが大のお気に入りだった。
母の言い分も頷けるリースは苦笑いをしながら振り向いて人差し指を立てる。
その指は少しずつ角度を変えて魔法使いに辿り着いた。
「ひたひたの卵液、魔法使いの大好物だったじゃない。」
そう言い残すとリースは母の返事も待たずに店を後にして自分の部屋へと戻っていった。
もう自分なりの限界だったのかもしれない。
オーナメントを見るだけでこんなに揺れるようじゃ先はきっと長い、自分の中の闘いの行く末を思ってリースは天井を見上げながらため息を吐いた。
かすかに見えた部屋のドアにまた心が騒ぎだす。
あの時期にジベルが使っていた部屋は、また元の物置部屋としてその役割を果たしていた。
毎年自分がこうなることが分かってノエルの日は夕食の直前にこの家に訪れ、なるべくゆっくりする時間を作らないようにしていたのだ。
すぐ傍で片付けをしていたトゥーリに背中で話しかけた。
「珍しい。あなたはカス・クルート派だったじゃないの。」
売れ残ったバゲットの籠を持ち上げながらトゥーリは肩をすくめた。
よく寝坊するリースは動きながらでも食べられる方が性に合っていたのだ、しかも好きな具材を詰めるのだから自然と自分なりの贅沢仕様になるカス・クルートが大のお気に入りだった。
母の言い分も頷けるリースは苦笑いをしながら振り向いて人差し指を立てる。
その指は少しずつ角度を変えて魔法使いに辿り着いた。
「ひたひたの卵液、魔法使いの大好物だったじゃない。」
そう言い残すとリースは母の返事も待たずに店を後にして自分の部屋へと戻っていった。
もう自分なりの限界だったのかもしれない。
オーナメントを見るだけでこんなに揺れるようじゃ先はきっと長い、自分の中の闘いの行く末を思ってリースは天井を見上げながらため息を吐いた。
かすかに見えた部屋のドアにまた心が騒ぎだす。
あの時期にジベルが使っていた部屋は、また元の物置部屋としてその役割を果たしていた。
毎年自分がこうなることが分かってノエルの日は夕食の直前にこの家に訪れ、なるべくゆっくりする時間を作らないようにしていたのだ。