運命は始まったばかり
「姉ちゃん、その大きいの1つ」

「はい、ありがとうございます」


けれど、笑顔で

こうしてケーキを販売している私は

お金の為とか、在庫を捌かなきゃとか

大人としての責任とか、

そんな理由じゃなくて・・・


帰っても、1人である事に変わりがないからこそ

仕事だから・・・と

理由をつけて

ここに立ち続けているというのが

本当の理由であり・・・・


「あ・・・・加奈・・?」


「・・・マサト」


「何、こんな日までバイト?」


おかげさまで・・・
あんな振られ方したもので・・・


「あー、うん」


「急に連絡とれなくなったから
心配してたんだよ?」


心配って・・・
3回だけの電話のみで
一度も来なかったのに

よく言うわ・・・。



「あー・・・うん」


「元気そうで良かった。
ケーキ買って行こうかな・・
小さい方でいいや」


「ありがとうございます」


こんな男にまで
笑顔を振りまいて・・・

お礼を言って・・・





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