甘い恋の始め方
理子としては会社から離れられればいい。

食欲は失せているし、気持ちを落ち着かせて悠也のことを考えたいだけ。

本当はひとりになりたかったのだが、最初から知っている加奈に話して、この沈む気持ちをどうにかしたくなった。

歩いて5分ほどのレストランに到着し、明かるさを少し落とした席に案内されると身体が脱力した。

食欲はないがとりあえずランチをオーダーし、店員がいなくなると加奈が静かに口を開いた。

「で、なにがあったの? その様子、まったく想像できないんだけど?」

いつもはテンション高めの加奈だが、理子の様子に神妙な面持ちをしている。

理子はグラスの水から加奈へと瞳を動かした。

「バレちゃったの……」

「バレちゃったって、どういうこと? まさかっ!?」

「1課の仕事、久我副社長がらみの仕事だったの。会議中に入ってきて……」

理子はさきほどのことを話した。

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