甘い恋の始め方
「熱、あるわよ。もう帰った方が良いわ」

「でも、明後日までの約束の分が出来てないから」

「そんなぼうっとする頭でデザインなんて出来るわけないじゃない」

「少しだけやっていくわ」

「じゃあ、少しだけよ?」

「はい」

理子が席に座ると、加奈はしぶしぶ自分の席に戻っていく。

今日は一度も立ち上げていなかったパソコンの電源を点ける。

仕事を始めてから10分ほどして、隣に誰かが立ったような気がしてのろのろと顔を向けた。

隣に立った人物を見て理子は唖然となる。

「くっ! 久我副社長っ!」

口元に笑みはなく不機嫌そうな表情の悠也に驚く。

悠也が入って事に気づかなかった2課の皆は、理子の慌てた声でこの部屋に副社長がいることに気づいた。一同が慌てた顔になる。

(さっきの会議でなにかミスった?)

悠也が来る用事があるとしたらそれしか思い浮かばない。

悠也になにを言われるのかと、理子は固唾を飲んで見つめる。

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