甘い恋の始め方
「どうぞ」

マグカップを渡した理子の指に課長の視線が注がれる。

「もしかして? それは婚約指輪かい?」

わざとではないが、課長が気づいてくれたせいで話しやすくなった。

「はい。婚約しました。来年結婚式をあげます」

「そんなところまで進んでいたのかー!」

課長は目を丸くして驚いた。

「おはようございまーす」

そこへ加奈や他の社員が入ってきた。

「ちょうどいい! 諸君! 小石川君が久我副社長と婚約したそうだ」

一瞬、みんなが驚いたが、近づいてきておめでとうを次から次へと言われる。

「もうっ、理子ったら。まさかそこまで進んでいるなんて思わなかったわ! あとでちゃんと話しなさいよね」

詳しい話を知らされていなかった加奈はすねたように言ってから、理子の身体にぎゅっと抱きついた。

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