甘い恋の始め方
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副社長室で書類を確認していた悠也のところへ、社長の篠原がやってきた。その顔は浮かない。

「久我、お前……」

篠原は疲れたようにドカッとソファに腰をかけた。

「どうかしたんですか?」

悠也は書類を机の上に置くと、ソファに座った篠原の対面に座る。

「婚約したって聞いたぞ?」

「ああ。そのことですか。後で報告に行こうと思っていたところでした」

「ピザ屋で会った彼女だろう? 2課のWEBデザイナーらしいじゃないか。前から知り合いだったのか?」

「いいえ。婚活パーティーで知り合ったんですよ」

「は? 偶然にうちの社員がお前の参加する婚活パーティーに? そんな偶然あるのか?」

「なにを疑っているんですか? まったくの偶然ですよ」

篠原にそう言ったが、ふとパーティー主催者の女性スタッフが理子の友人だったことを思いだす。

(友人が情報を漏らしたのか?)

悠也はふとそんなことを考えて、眉間に皺を寄せてしまったがそんな思いを一掃する。

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