甘い恋の始め方
理子は疼く身体を抑えようと、両腕を身体の前で組む。

振り返った悠也は理子が腕を組んだところを見て、気遣うように肩に腕を回す。

「寒い? 早くタクシーに乗って」

「は、はい」

後部座席に誘導されて、理子は悠也を意識しながら乗り込んだ。

「着くまで眠っていればいいよ」

悠也は理子の頭を自分の肩に寄りかからせる。

(完全に疲れていると思われている……本当は……)

疼く身体が悠也を欲しいと言っている。でも、それを口に出して言えない。

そんな気持ちを胸に抱きながらどうすることも出来ず、タクシーは理子のマンション前に停まった。

「ここで待っていてください」

タクシーの運転手に悠也は告げると、降りようと身体を動かす。

恋人つなぎをしていた理子の手は、無意識に力が入りぎゅっと握る。

「理子?」

強く握ってしまい慌てて悠也の手を離す。

それで理子の思いがわかったようだ。

悠也は理子に何も言わず、運転手にここで降りると言い料金を支払った。


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