甘い恋の始め方
「これ美味しいですよ。食べてみてください。おススメです」

九条ネギのたっぷりかかった和風ピザだ。

浩太につられてけっこう食べていてお腹が苦しかったが、おススメと言われては食べたくなる。

無理にお酒を勧められることなく飲んでいた理子だが、4杯目の生グレを空けるとほろ酔い加減になる。

ヘアサロンの話や、映画、本の話で盛り上がりながらも、理子は浩太にはっきり断らなければと考えていた。

「――さん? 理子さん?」

「あ、はいっ」

「なんの考え事? 考え事に嫉妬しちゃうんですけど」

「あのね? 浩太君」

たった今考えていたことを話そうとしたとき、テーブルのスマホが振動した。

悠也だった。

悠也の電話に出たい一方、目の前に浩太がいる。

「悠也って、恋人?」

はっきり名前が見えてしまったようだ。

「出てもいいですよ」

理子は首を横に振り、電源を切った。



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