恋踏みラビリンス―シンデレラシンドローム―


「でも私、和泉くんが他の女の子と話してたりするの見た事ないし……。
多分、みんなにそうなんじゃないかな。それを私が勝手にいいように解釈して期待してるだけで……」
「その前に、そもそもなんで好きになっちゃいけないわけ?」
「それは、だって……高校の時一度振られてるって佐和ちゃんだって知ってるじゃない」

何を当たり前の事を聞いてくるんだろう。
そんな気持ちで答えると、佐和ちゃんは、はぁ?と聞き返しながら顔をしかめた。

「それだけの理由で? なにそれ」
「それだけっていうか……え、だって一度振られてるんだよ? 十分な理由じゃない」
「だってそれ何年も前の事でしょ? 高一の時だから……五、六年前だよ。それを未だに?」

もう一度、十分な理由だって主張すると、とびきり大きなため息をつかれる。
高校の時に一度振られてるからっていう理由は、佐和ちゃんの中では理由にすらならないみたいだった。

「人の気持ちなんて変わるし、和泉だって変わってるんじゃないの?
第一、莉子を迷惑に思ってたら一緒に住んだりしないでしょ」
「それはきっと、和泉くんの優しさとか同情でだよ。
それに……一度振ってるから立場をわきまえるだろうって思ってるんじゃないかなって」
「なに、立場をわきまえるって。身分違いなわけでもないのに」





< 96 / 221 >

この作品をシェア

pagetop