人知れず、夜泣き。


 ひとしきり泣くと、アパートの部屋の電気が消えている事を確認して帰宅。

 お風呂に入って、髪を乾かして。

 あとは寝るだけ。

 でも、悟と一緒のベッドでは寝ない。

 元々レスだった。

 悟の隣で寝た所で、何も起こらない。

 でも、嫌だった。

 悟は、あのベッドであの女のコと寝たかもしれない。

 どうにもならない悲しみが、また涙となって形になる。

 1人、リビングのソファーに転がり、飽きもせず泣く。





 翌朝、お弁当を作るべく早めに起きる。

 ・・・普段通り悟の分も作ろうか。

 別れてしまったけれど、引っ越すまではいつも通りに過ごすのが自然なのかもしれない。

 お互い、嫌いになっていがみ合って別れたわけじゃない。

 ただ、悟に好きな人が出来ただけ。

 ただ、それだけ。
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