人知れず、夜泣き。



 「よし!! 作るぞ!!」

 朝から沈む気持ちを奮い立たせて、いざ調理開始。

 ・・・しかし、お金持ちに食べさせる為に作るお弁当は、いちいちいちいち気を遣う。

 いつもならピーマンで作る肉詰めも、パプリカにしてみたり。

 アルミのカップに入れるポテサラを、トマトの器にしてみたり。

 ・・・正直、もうこれっきりにして頂きたい。

 はっきり言って、めんどくさい。


 『弁当、ちっさ』

 ふいに橘さんの言葉が脳裏を過ぎった。

 あぁぁぁああ!!

 しまった!! おっきいお弁当箱買うの忘れた!!

 ・・・悟のヤツを拝借する??

 イヤイヤイヤイヤ。 さっき、悟の分も作るって決めたじゃん。

 うーん。 そうすると、最早タッパーしかありませんけど・・・。

 ・・・うん。 仕方ない。

 こんなにオシャレ感を重視して作ったというのに、結局タッパーになるなんて・・・。
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