いとしいあなたに幸福を
「街から南東の集落だ!今度はまるごと住民が消えちまったっ!!」

「え……ええっ?!」

一呼吸遅れて驚く陽司を尻目に、周は椅子に投げ掛けてあった外出用の上着を羽織った。

「今の母に任せたままじゃ、ぐずぐずしてるうちに春雷中の風使いたちが消えちまう…っ!被害のあった集落に行けば何か手掛かりが残ってるかも知れないだろ!?」

「だ、だからと言ってご自身が其処まで向かわれるなんてっ…危険過ぎます!」

「俺を一人で行かせたくないなら、お前が俺について来い!!」

陽司が身支度をし終えるのを待たずに、周は再び部屋を飛び出した。





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