【短編集】あいとしあわせを祈るうた



「なっ、お前…なに考えてんだよ!馬鹿にしてんのか?俺がそういう目的だって決めつけんじゃねえよ!」


「ひっ…」



ナカジ君の剣幕にわたしは、ベッドから立ち上がった。

わたしの白いフリルのブラウスの前は、半分まで開いていて、水玉のブラと肌が見えている。


「だって…親の留守に俺の部屋に遊びにこいっていうの、こういうのがやりたいからでしょ?」


わたしはムキになって反論した。セリフはすごいけど、声が震えてしまうのは、背伸びしてオトナっぽい娘を演じているから。


同期で設計課の中嶋英人(通称ナカジ)は、昔ちょっとワルかったのかな?って感じだけど、目が優しい人。

背も高くて、仕事の飲み込みもメチャ早いキレ者、今年入社した中では3本の指に入る目立つ存在。


5月末にあった同期の飲み会の後、2人きりになったところでわたしから告ったら、両思いになれた。もうこのまま死んでもイイ!っていうくらい嬉しかった。


でも…ナカジ君に比べて平凡な女の子のわたしは、いつもどこか不安。
ナカジ君がわたしに飽きて、違う娘を好きになったりして…とか。
例えば、受付にいる色っぽい鈴木さんとか。


社内恋愛だけど、あんまり隠してない。未だに学生気分が抜けてないねって、たまに周りの人達に言われちゃうけど。

お互い、まだ研修期間で残業はほとんどないから、なるべく退社時間を合わせて一緒に帰る。人目がない路地では、手を繋いだりする。

すごく幸せ。


この日は、ファミレスでご飯食べたあと、最寄り駅でバイバイする直前に言ったんだ。





< 23 / 70 >

この作品をシェア

pagetop