【短編集】あいとしあわせを祈るうた
二杯目のシャンディ・ガフのしずくを
飛ばさんばかりの勢いで愚痴る私。
私の目の前に座る美紀と杉本君はジョッキのビールを飲み、エビとマッシュルームのアヒージョをつつきながら、憤る私の話に辛抱強く耳を傾けてくれていた。
24日。
ひとりぼっちのクリスマス・イブにならなくて済んだのは、前の会社の元同僚、井上美紀のおかげだ。
美紀は私より2歳年上のの30歳。
四大卒で理数系の彼女は研究職。バリバリのキャリアウーマンなのだ。
なのに、浮気者のダメ男ばかり好きになってしまう。
毎年クリスマス前に別れるパターンで、ここ数年、恋人と一緒のイブを過ごしたことがない、とため息を吐く。
ドジでおっちょこちょいの私とは正反対のタイプだけれど、同期のよしみで、私が退職した今でも仲良くしてもらっている。
男っ気ゼロだけど、決して魅力がないわけじゃない。
媚びない美しさを持っている。
ユーモアに溢れている。
だから、男友達は何人かいるようだ。
(ちなみに私は男友達っていない。
100人の男友達より、1人の彼氏がいた方がいい)
女同士、二人で飲むはずだったのに。