『イロモノなアタシⅡ 小鬼更正計画』
企画書を渡されて目を通すと、そこには『若手芸人お宅突撃! 』と書いてあった。


本人が不在の間に家に行き、そのインテリアを酷評しようという企画。


「これ、本人OK取らなくていいんですか? 」
「したら意味が無いって、向こうさんもおっしゃってるし。明日、もうロケが入るそうだから案内を頼むよ」
「えーっ! 」


嫌な予感がするけれど、もう受けてしまった仕事らしく断れない。


「それと、明日の夜は『Mスタジオ』の生放送があるから」
「ネタ見せ番組、少ないんですね」
「まあアイドル芸人の宿命だね、芸よりもまず顔、歌を売れって指示が上からも来ているんだよ」



かわいそうだけれど、現実、今活躍している大御所の中にもそうした人が多い。


彼らが東京でも売れっ子になるためには、最初のガマンが肝心。


まあ、本人達にガマンしているという意識は無さそうだからいいか。


「ネタ見せ番組も今度押さえるから、大丈夫だよ」


あたしへホワイトニングビームを放つと、アポ取りの電話を掛け始める先輩。

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