『イロモノなアタシⅡ 小鬼更正計画』
楽屋へ入ると、顔見知りの若手さんが声を掛けて来る。


「大沢はん、久しぶりですな」
「元気? 頑張ってるわねー」


そんな挨拶を繰り返していると、例の問題児が制服姿で登場した。


付き添っているのは、急遽、引継ぎを受けたばかりの先輩。


「万里也君、タバコは止めて下さい」
「うっさいなー、黙っとけボケがぁ」


制服のまんま煙を口から吐き出してるよ、この子。


「秀一郎君、ネタの打ち合わせはいいんですか? 」
「勉強中」


やりづらそう、かなり。


見た感じだと、万里也は不良で秀一郎は真面目そのもの、というよりむしろガリ勉。


2人とも同じ私立の浪速学院という、超有名進学校に行っている。


きっと、お母さんの方針なのだろう。


最近じゃ、芸人さんも大学を出ていないと通用しない時代だから。


「大沢さん、紹介を」
「はい」


嫌だなー、あー逃げたい。


逃げたいけど、これが現実。

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