『イロモノなアタシⅡ 小鬼更正計画』
「今日のスケジュールだけど、学校を昼で早退させて、まずMHKの歌番組の収録、それからブジTVの深夜番組の収録、これはコントだから機嫌を損ねないように周辺へ告知してあって……」


忙しい、今日だけで合計4本の出演。


学校なんて、行っている余裕も無さそうなスケジュールだ。


「多分、全部終るのが深夜2時かなー」
「ですね」


こんな状況の中でも彼らは平然と仕事をこなし、着々と東京での地盤を築き上げて行く。


オフなんて一切無し、夜、家に帰って寝る事くらい。


まあ、それでも何やら夜中にしているらしく、時々妖しげな声が聞えると米山が興奮しているけれど。


マネージャーであるあたしも、オフなぞ無く、敬介とはメールや電話、そして局の廊下で共演番組の打ち合わせと見せかけた話しか出来ていない。


「志穂、辛そうだね」
「そう? でもこれが仕事だし、やりがいあるもの」
「ならいいけど、ムリしないで」


見詰める目が、悲しそうな色に見えたのは気のせいじゃなかった。






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