『イロモノなアタシⅡ 小鬼更正計画』
「あの2人って、そういう関係なの? 志穂」


今頃気づくし、業界内じゃ噂になってるよ、とっくのとうに。


「まあ、そうらしいね」
「知らなかったのー? ナルって本当にオクテねー」


オクテで天然ですから、あたしの彼氏は。


「でもさ、大虎師匠にバレたら大変だよ。あの2人仲悪いし」
「そうなの? だって家も近いし、奥さん同士も仲がいいじゃない」
「ミナミで聞いたのよ、高級クラブの女の子取り合って、大立ち回りしたって話をね」


さすがはハギモトの情報通だ、大阪のネタまでつかんで来るとは。


芸人やめて、芸能リポーターになればいいのに。

「だから、あんたが気を付けなきゃダメよ」
「はい」


上司みたいなコメントの後に、2つの布団を敷かされる。


今日もここで眠る気マンマンらしい、ああ、幸せが遠のいて行く。


誕生日の夜なのに、何でいつもこんな目に遭うのだろう。


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