『イロモノなアタシⅡ 小鬼更正計画』
出番を終えた彼らが楽屋に戻ると、あたしは先輩から大きな網を渡された。


「これ、何ですか? 」
「付いて来れば分かるから、とにかく来て」


表に出ると、出待ちの若い子が群がる。


手紙やプレゼントを迷惑そうに受け取った2人は、駐車場に向かう途中にある戎橋上へ来ると、それを道頓堀目掛けて投げ込み始めた。


「ちょ、ちょっと! 」
「大沢さん! 早く! 」


網を動かして、空中でプレゼントを掬う。


正直、デブには厳しい運動、そして、何故こんな事をしなくちゃいけないのかと頭の中は疑問符で一杯。


しかし、ファンの子は嬉しそうに叫ぶ。


「捨てられたぁー、めっちゃ嬉しいー」
「万里也のそんなドSぶり、最高ー」


おかしいの? 皆。


プレゼント、捨てられて嬉しい?


どういう意味?


頑張ってキャッチしたプレゼントで、網の中は一杯になる。


「あの、先輩」
「これは必ず持っててね、折りたたみ式になってるから」
「はあ……」

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