『イロモノなアタシⅡ　小鬼更正計画』
「こちらです」
「何や、二丁目やないけ」
「本社にお越しいただく前に、会っていただきたい方がおいでに」
「誰やねん」


向島先輩から借りた名刺を渡すと、４人の表情が変わる。


「ＭＨＫの本部長かいなっ！　」
「親子６人で出演していただきたいレギュラー番組のお話だそうです、ただ先方のご指定でこちらに」


ＭＨＫの本部長なんて嘘っぱちだ、しかしうるさい彼らをダマすためには仕方ない。


素直に従って『シャングリラ』の中に入る４人を見ながら、ちょっとだけ良心が痛むけれど。


「いらっしゃいませー」


あたしが入ると同時に、ドアが閉められると同時に、外でエンジン音が響く。


そう、ドアの前に大型トラックを横付けしたのだ。


これで脱出は不可能、裏口はすでに自動車で固めてあるし。


もう逃げられないわよ、４人とも。

< 213 / 292 >
表紙・目次

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop