『イロモノなアタシⅡ 小鬼更正計画』
「母に詫びて下さい、それとここに居る彼女のクビを撤回して下さい」
「アホかお前は、そんなんデケるかいな」
「裁判しますか? 認知の。それでもいいですけど」
「ワシの子やないっ! 違うっ! 」


しゃがみ込んだつよし師匠は、まだ認めようとしないかつお師匠に平手打ちを食わせた。


「目ぇ覚ませ、自分がした事やろが」


芸人の命とも言える顔に一撃を食らい、黙り込む。


「兄ちゃん、いや向島はん。相当、うらんどったみたいやな、相方に代わって謝る」


なんとその場で土下座を始めてしまった。


「コイツは女にだらしない、昔っからいつもそうや。せやからな、許したって」
「許せませんよ、一生」
「金の件もクビの件も、必ず何とかさせる。でないと、コンビ解散やぞ、息子もろとも」


親子ともどもコンビ解散を突きつけられて、かつお師匠も認めざるを得ない。


「どうしますか? かつお師匠。母の墓前で詫びてくれますか? 」
「分かった、謝る」
「向島はん、この通りや。カンニンして」


涙を流しながら頭をまた下げるつよし師匠に、さすがの先輩もうなづくしかないようだ。


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